2024年春号 No.202 社長ハロー通信より

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社長の田嶋です

移住を希望する人が物件を探す時のポイント

 私は業界団体の宅建協会小田原支部で役員をしていますが、直近の話題でNPO団体「ふるさと回帰支援センター」から不動産屋の視点から見た移住相談に来る方に渡せる「物件探しの進め方」みたいな資料が欲しいとの事なので、これをネタに原稿を考えてみました。「ふるさと回帰支援センター」は都市と地方の交流・移住・定住を支える非営利団体との事で、20年以上前から東京・有楽町の交通会館で移住相談を行っているNPOです。なので「物件探しの進め方・ポイント」みたいな資料はすでにある気がするのですが、彼らは不動産屋ではないので移住希望者が移住先を定めて、その地元の不動産屋へ行く時の心構え的なものを求めているようなので、それを地元の不動産屋視点で見ていきたいと思います。遠方からの移住を考えている方だけでなく広く住み替えを考えている方の参考になればと思います。

 まず不動産はスーパーやコンビニで売っている商品と違い「一物一価」と言われ、基本的に同じものが無い商品です。同じマンションの部屋違いで間取りが同じでも、部屋の位置によって日当たりや騒音などが違い、それに応じて価格も違います。また探している人も単身者か家族連れかだったり、若い世代か高齢世帯かだったり、働く場所など様々で、商品とお客様をマッチングさせる組み合わせがいくつも考えられます。だから不動産業はスーパーやコンビニのように全国的に営業している大手の業者もありますが、地元に精通した地域密着の業者が強く、経験と実績を積んでいる業者(担当者)が強みを発揮する業界となっています。例えて言うと、昔はどの街にも洋服の仕立て屋さんがいてスーツを買おうとすると職人さんがオーダーメイドで仕立てたのが今は量販店で買うのが普通になりましたが、不動産はいまだに一組のお客様に一人の担当者がついてオーダーメイドで取引を成立させるのが普通で、それは今後も続いていくと思われる事です。それゆえ不動産に関する事を一般論で説明しようとすると、ありきたりで薄っぺらな説明になりがちなのです。

 その上で移住を希望する人が物件を探す時のポイントとして、移住先を絞る段階でピンポイントに小田原駅徒歩10分以内とかで絞られている方が割といますが、それはかなり難しいです。小田原駅徒歩10分以内だと新幹線を使うと都心に住むのと大して変わらない生活が魅力で、それでいて賃貸でも売買でも価格は都心のマンションなどに比べるとだいぶ安いのが魅力です。しかし、それは都心のマンションなどがえらく高くなっているからで、そもそも価格の安さを求めて地方移住を考えている方からすると思っていたよりも高いという声をよく聞きます。そのような方の場合は小田原駅から乗り換えて数駅離れると都内よりも割安感が出てきます。さらに近頃は少子高齢化で空き家が問題になっているから地方に来れば激安物件がたくさんあると思っている方も多く、2~300万円で家が買えると思って問い合わせてくる人もいますが、さすがに小田原周辺はそこまで安くありません。売買物件で500万円を切る物件もまれにありますが、安い物件には必ず安くなる理由があるので普通の人はまずあきらめます。賃貸の場合は、それなりの設備・仕様や立地条件であれば都内に比べて割安感がありますが、底辺レベルの物件になるとそれ程安くもないのが現実かと思います。
 あとは賃貸でも売買でもスーパーやコンビニでする買い物よりも高いお金を払うので警戒感を持たれてしまうのは仕方ないとして、不動産屋としてはある程度お客様の情報を得ないと一般論で話すことになり、ありきたりで薄っぺらな情報になりがちなので、時間をかけてでもお客様と不動産屋で移住(住み替え)を考えるに至った事情やご自身が置かれた状況など、お客様の情報を共有させて頂けると、より希望に沿った提案が出来るようになります。ポイントとしては先入観を持たずに、いろいろな不動産屋の話を聞いて、信頼できると思った業者にある程度お任せするのが良いかと思います。

   で、私もそんな業者でありたいと思いました。