2025年秋号 No.208 社長ハロー通信より

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田嶋崇之です

ミスマッチの話

 以前から感じていたことですが、最近さらに強く印象付けられることがあって、それは「これってほんとミスマッチだなぁ」と思うことが多いことです。うまくかみ合っていない話なので当然、残念な印象を受けてしまいます。それは多方面で感じられるのですが具体的な例でいうと「日本全国で、インバウンドで日本に来る外国人観光客が有名観光地に集中してオーバーツーリズムが問題になっている。一方でまだまだ閑古鳥が鳴いてどうしようもない場所もいっぱいある」みたいな話です。

 個人的には若いころワーキングホリデーを利用して海外で一時を過ごしバックパッカーみたいな事もしていたので、海外からたくさんの人が日本を訪れて楽しんでくれているのはとてもうれしいのですが、国道134号線を走っていて鎌倉高校前のあたりを通過するときとか観光客が道にはみ出て「さすがに危なっかしくてしょうがないな」と思ってしまいます。商売の神様である京都の伏見稲荷にもよく行くのですが圧倒的に外国人が多くて普通の人なら辟易すると思います。その一方で今いろいろと話題になっている静岡県伊東市などは、まさに閑古鳥が鳴いています。設備を更新できないホテルがそれを逆手にとって「レトロでエモい」みたいにして売っていますが、基本的に伊東市の全ての問題の根源は「街にお客様が来ない」ことだと思います。隣の熱海市は新幹線が停まることもありインバウンド客も含め関東近郊からも多くのお客様が街に来訪していますが、すぐ隣の街なのに伊東市は一昔前の熱海みたいで、逆に言えばあとちょっと頑張れば熱海みたいになれそうな気もします。伊東市の話題の元になっているメガソーラー計画は私の母の実家がある八幡野地区なので、いくらか地域事情も分かりますが、そもそも昔と変わらないくらいの観光需要があればメガソーラー計画なんて出てこなかっただろうし、観光で潤って昔と同じくらいの税収があれば老朽化した図書館の建て替えなんて問題になっていなかっただろうと思います。まぁ離れたところから見ているとそう思えても、実際にはそんな簡単なことではなくて、だからこそ問題になっているのだと思いますが、隣の熱海まではお客様があふれているのを見ると、なんだかもったいない気がしてきます。

 で、そんな話は日本だけでなく世界中に広がっていて、話題の中身も観光客が来るとか来ないとかのレベルにとどまらず、人やモノやサービス、マネーなどあらゆるものが、どこかで過剰にあふれて、どこかでは急速にシュリンクして、それが原因で人々や国家間のレベルで争いになりかねなかったり、すでに争いになっていたりしていると思います。そしてその原因の一つはITやAI技術の進展で、モノやサービス、マネーだけでなく人々の感情までレバレッジが効いて過剰な反応が起きて問題につながっている気がします。

 しかし、その問題の原因の一つであるITやAI技術の進展が熱海の復活にもつながっていて、結局、時代の変化の荒波にうまく乗れるか翻弄されるかの違いで、それがマッチしていないからミスマッチに感じるのだと思いました。