社長の田嶋崇之です
2010年代を振り返り2020年代を想う
今年も一年が暮れて新しい年を迎えようとしています。今年は5月に今上天皇が即位され、私たちの国、日本の新しい時代の幕開けとなりました。また、来たる新年は2020年となり、これもまた新たな2020年代の幕開けとなります。2020年はいよいよ東京オリンピックの年となり、日本だけでなく世界の国々と新たな時代の期待と喜びを共有できるような、そんな年になれば良いと思います。で、今回は過ぎ行く2010年代を振り返り、新たな2020年代の行方を予想してみようと思います。
この原稿を書きながらネットで2010年と検索すると、出てきました、2010年の出来事が。もうほとんど忘れていましたが、当時はまだ民主党政権でした。しかし政権交代の期待感もうせて鳩山内閣から菅内閣になり、参院選で民主党が大敗してねじれ国会となりました。
そして翌2011年は未曽有の東日本大震災が起こり原発事故にもつながり、私たち日本人にとって大きな転換点になった年ではないかと思います。非常に大きな天災でしたが、その後の被害は人災でもあるような気もして、いまだに影響を引きずっています。あの日、私は八王子にいて割と大きめな地震程度に感じましたが、その後ずっと電車が動かず、ただ事ではない事に気づき、辛うじてカプセルホテルに泊まり一夜を過ごしました。そしてカプセル内の小さなテレビで津波や火災の映像を見て、とてもショックを受けました。翌日ようやく動き出した京王線に乗り普段の倍以上の時間をかけて小田原に戻りましたが、車内ではたびたび緊急地震警報のアラームが鳴り響いて、皆が恐怖におののいていたのが思い出されます。
翌2012年は政権交代が起こり、今につながる安倍政権が誕生しました。政治的な安定が経済的な安定につながり、その後、現在まで景気低迷からの脱却が図られてきました。その一方で格差が広がっているのも事実で、それが社会を不安定にしている気がします。2013年以降もネットで年数を検索すると、それぞれの年の出来事が出てきて、あんな事こんな事あったんだなぁと改めて思い返されますが、大きな流れは変わっていない気がします。こう振り返ると、この10年、良くなったんだか悪くなったんだか正直分かりません。
世界の動きを振り返っても2010年当時はアメリカ大統領が前年に就任した非白人のオバマ氏で、時代の変化のただなかにいた気がしましたが、その後のトランプ氏の登場も衝撃的でした。アメリカ以外でも、この10年で自国優先主義や反グローバリズムが台頭してきている事を実感します。
で、次の10年、2020年代がどうなっていくか考えたとき、正直、世界がどの方向へ向かっていくのか分かりません。日本に関して言えば今の流れで行くと格差とそれに伴う不安が広がっていく気がしますが、そうならない為にどうすれば良いか、考えると、やっぱり「人」なのかと思います。人がいて社会が成り立ち、マーケットが存在して経済が回ります。逆に人がいなければ、そもそも社会に対する不安も希望もなく、戦争も平和も何もありません。まずは人がいる社会、人がいる地域を作ることが大事なのかと思います。その上で「希望」を持つことが大事だと思います。
前回の東京オリンピックは昭和39年、1964年に開催されました。新幹線が開通し日本が高度経済成長へと邁進していく希望に満ちた時代でした。しかし、その20年前、世界は戦争のただなかにあり、日本は敗戦へと突き進む暗い時代でした。これを考えると、今回のオリンピックの20年前、というか30年前は日本がバブル景気でギラギラ輝いていた時代で、そこから今まで経済は下り坂で、格差は広がり気が滅入っちゃうような時代でしたが、それでも平和で良い時代だったと思えて来ます。今、私は40代ですが、前回の東京オリンピックを40代で迎えた人たちは戦争をもろに経験して、そこから生まれた様々な想いが戦後の日本を作り上げたのだと思います。そして、その想いは「希望」だったのだろうと思います。
今年オリンピックを迎える私たちは格差の拡大だとか自国優先主義の台頭だとか、なんだか先の見通しの悪い位置にいる気がします。しかし先人が作り上げたものに感謝して、次の10年も平和を維持することを誓って、前向きに上向きにベクトルを向けて、希望をもって突き進んで行きたいと思います。