2023年春号 No.198 社長ハロー通信より

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社長の田嶋崇之です

変わる事、変わらない事の話

 春は新生活が始まり多くの方にとって変化が訪れる時期です。この時期の気候を「三寒四温」と呼ぶように、寒い日があれば暖かい晴れ晴れとした日もあり、この様な気候も相まって新しい変化に対して期待と不安が入り混じる季節だと思います。そして今の世の中を見ると10年前や20年前と比べるとだいぶ変わった気がします。20年以上、経済が低迷している日本から見ると日本があまり変わらないうちに世界はだいぶ変わって置いていかれてしまった気がしますが、なんだかんだ言って日本もだいぶ変わっており、世界の変化を感じます。

今から20年以上前、2000年から2001年にかけて約1年間、私はワーキングホリデービザを使ってオーストラリアに滞在していました。そのうち半年以上をオーストラリア最大都市のシドニーで過ごしました。現地ではシェアハウスに部屋を借りて日本のお土産店でバイトしながら、日本とあまり変わらないような生活をダラダラとしていました。

 シェアハウスはオーストラリアに限らず欧米では安く一人暮らしする居住形態として普及していました。当時の日本では自宅に学生さんや従業員さんが住みこむ「下宿」はあっても自宅のあまった部屋を他人に貸し出す「シェアハウス」なんて聞いたことがありませんでした。それが今では割と普及して当社のお客様でもシェアハウス経営をされている方がいるようです。シェアハウスのタクシー版の「ウーバー」は安全性などの懸念から日本では普及しませんが「シェアエコノミー」なんて言葉まで生まれて、良いか悪いかは別にして日本に欧米と同じような考え方や仕組みが定着したと言えます。

 それと対極に20年以上たっても日本に定着していないのが「LGBTQ」に対する考え方だと思います。オーストラリアでも一部の人は同性愛者に対して嫌悪感を持っていましたが、シドニーはサンフランシスコと並んで当時、世界で最も同性愛に対して寛容な街と言われていていたらしく、街で普通に見かけました。「普通に見かけた」なんて書くと偏見的な言い方に聞こえそうですが、それでもゲイの方は話し方や動作、ファッションなどで何となく分かるのです。ファッションセンスの高そうなお洒落な男性はだいたいゲイみたいな感じで、ゲイをカッコ良くとらえ当事者もプライドをもって性自認をしていた印象です。ファッション関係の仕事に就く方が多かったようですが、バイト先のお土産店に納品に来る運送会社のオジサンもゲイだったりした感じです。レズビアンやバイセクシャルの方も割と普通の事らしかったですが見た目で何となくわかる、なんてことは少ないのでホントに普通だったのだと思います。そして実際に生活して実感したのが目の前で話している相手が同性愛者だろうが異性愛者だろうが、どうでも良いという事です。

 日本に戻って来た時は、そのうち日本もシドニーみたいになるのかと思っていましたが、そんな事はありませんでした。今の日本では国会で同性婚の是非が議論され、社会的にLGBTQに関する議論が活発になってきていますが、それだけ日本では今でも同性愛に否定的な方が多いのだと思います。以前に比べれば多少は寛容になった気がしますが、今後もあまり変わらない気もします。それが良いのか悪いのか、どうでも良いとは思いませんが、当事者の方は無理して日本にいなくても良いのではないかと思います。「同性愛者は日本から出て行け」というつもりではなく、無理して日本にいるくらいならシドニーなんかの方がよっぽど暮らしやすいと思います。もっともこんな事を言えるのは以前の円が強かった頃の感覚で、今の日本円を持ってシドニーなんかに行ったらあっという間にお金を使い切ってしまいそうです。しかし日本食の職人さんなど現地で通用する技能を持っていると日本より全然稼げて良いみたいです。結局この世界で自分らしくいようと思ったら、技能を身に着け少しは英語が喋れるようにして、世界で通用する人間になるのが一番なのかと思います。